年金

59歳会社員は、年金の繰り下げ受給を夢見る

今回の相談者は、来年3月に定年を迎える59歳会社員。長年、製造会社の営業職を務め、顧客先からの信頼も厚い。セールストークは素晴らしいが、残念ながらITスキルがお粗末。仕事柄ゴルフとお酒が大好きな59歳。会社からの残留要請も強く、担当顧客そのままで、定年後再雇用の予定。賃金は下がる予定とのことで、老後の生活と年金の繰り下げ受給を考えているらしい。

年金の繰り下げ受給とは

本来65歳から受給開始の年金を受け取らずに、開始を遅らせる(繰り下げる)と年金額が増える。1ヵ月につき年金が0.7%増え、最長の5年遅らせると42%も増えるので、魅力的に見えるらしい。改正後は75歳から受給で84%増。ほぼ倍額ですな。

繰下げ受給のメリット

繰下げ受給のメリットは、受け取り開始時期を延長すればするほど、年間の受け取る年金の金額が増えることです。受取額は5年繰り下げれば42%、10年繰り下げれば84%増加します。

65歳をすぎても働いていて生活費に余裕がある状態ならば、繰下げ受給を利用し、長生きすることで、より多い金額を受け取ることができます。

繰下げ受給のデメリット

繰下げ受給のデメリットは、早く亡くなってしまうと、65歳から受け取っていた方が、総額の受け取り金額が大きくなるということです。

寿命は自分ではわかりませんね。判断できないので、生活資金・貯蓄・考え方に応じて慎重に決断しましょう。

きっとデメリット

検討する際に注意したいのは、奥さんと良く話し合うことです。

夫が厚生年金を繰り下げて年金額が増えたとしても、死亡後に妻が受け取る遺族厚生年金は夫65歳時の年金額をもとに計算されるため、遺族厚生年金は増額しないという点です。

当たり前だがもしかしたらデメリット?

公的年金支給額が42%増える、84%増えるというのは支給上の増加額。実際に使える金額は、手取り。支給ではなく、税金や社会保険料を支払った後の手取りで考える必要があります。

加給年金が受け取れなくなる?

繰下げ受給を利用した場合、70歳からの受給ならば5年間、75歳からの受給ならば10年間、加給年金が受け取れません。また、その期間中に受給条件が非該当になるかもしれませんね。

彼の場合は、奥さんも厚生年金受給予定者なので、もともと非該当ですが。

繰り下げ受給の損得

受給開始を遅らせたことが「得」だったか「損」だったかを計算する「損益分岐年齢」という考え方があります。

というか、皆さんきっとこれを真っ先に考えます。例えば5年繰り下げて70歳から年金を受け取り始めると、損益分岐年齢が81歳10ヵ月となります。これをどう考えるか、じっくりと検討してください。

なおこの計算は、支給での計算。手取りで考えると、損益分岐年齢なんて考え方はどこかに行ってしまいます。

まとめ

おすすめなのか?

資産運用という観点だけで考えると、5年間で運用利益42%は、今の金融商品では難しいでしょう。そう考えると、他に生活を支える収入があり、公的年金は、余剰資産的に扱える家庭ならば検討しても良いかもしれません。

何のためにお金を使うのか

お金には使うタイミングがあります。若い時なら自己投資。65歳になったら、健康寿命でいるうちに、できることにお金を使う。

うちの場合は嫁さまの足が大丈夫なうちにいろいろとしたいことがあるのです。お金の事情はそれぞれの家庭でさまざまですから。

他に増やす道はないのか?

収入、稼ぎ口を複数持ちたいのは、公的年金受給年齢となってからも同じです。公的年金以外の稼ぎ口を増やすことを考えたいです。59歳からでも遅くないと思います。

えっ?それよりもゴルフコースに出たいって?。ここに来る必要あったの?。まあ、黙って聞いてますけど。

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