年金

年金の繰り上げ受給は避けたほうが無難

今日のご相談は、いつから年金受給したらよいか彷徨う62歳先輩のお話。会社勤め40年、60歳で定年を迎え、現在、高年齢雇用継続給付金を受けながら定年後再雇用で、継続勤務中。おくさまは、専業主婦(配偶者特別控除の対象です)、成人して社会人の息子さんとの3人暮らし。

63歳からの方が金額が良いと聞いて、「年金を63歳からもらうのがいいのか?もっと先送りした方がいいのか?」と迷っているらしい。

昭和33年生まれ男性が63歳から貰える年金

まず、昭和33年生まれ男性が、63歳から貰える年金は3種類。

  • 特別支給の老齢厚生年金
  • 老齢厚生年金(の繰上げ受給)
  • 老齢基礎年金(の繰上げ受給)

これら3つの年金は全くの別物です。混同しないように。

特別支給の老齢厚生年金

年金の受給年齢を60歳から65歳に引き上げた際の段階的経過措置。もう少ししたら過去の遺物になる。特別支給の老齢厚生年金をもらっても損することはありません。手続きをしないでいると時効(5年)で消えてしまいます。忘れたふりをして一括請求すると一時金で貰えます(5年経過した時効分を除く)。が、一時金で貰うと、所得税だったり住民税だったり、果てには健康保険の自己負担割合だったりあります。

現在の給与水準と年金額の合計額が一定以上になると、減額または支給停止になります。勤務先で厚生年金に加入すると、在職老齢年金の仕組みにより年金の一部または全部が停止されることがあります。停止になるかどうかは年金額、標準報酬月額(給与額)によって変わります。

ちなみに、
・60〜65歳までの在職老齢年金の仕組み
「1年間に支給される年金(特別支給の老齢厚生年金)を12カ月で割ったもの」と「標準報酬月額」の合計が28万円以下であれば年金停止にはなりません。

・65歳以上の在職老齢年金の仕組み
「1年間に支給される年金(国民年金、加給年金等を除く)を12カ月で割ったもの」と「標準報酬月額」の合計が47万円以下であれば年金停止にはなりません。

なおこれについては、2022年4月に大幅改定が予定されています。28万円以下のところが、47万円以下になる予定。

老齢厚生年金(の繰上げ受給)

繰上げ受給の請求をした時点に応じて年金が減額され、その減額率は一生変わりませんので、慎重に判断を。

(注意)振替加算の加算対象者は、65歳からでなければ振替加算が加算されないことから、65歳になると振替加算額分は増額されます。【奥様の年齢不詳のため、念のため書きました】

繰り上げ受給をする人は一定割合いて、その理由の多くが「生活費不足」「健康不安」です。早く受け取る方がお得であると考える人もいるようです。

ここ最近では新型コロナウイルスの影響で、繰り上げ受給を検討する人が増えているようです。収入減をカバーし、生活を維持するために、多少年金額が減っても「繰り上げ受給」をせざるを得ないのでしょう。

障害基礎年金や遺族年金といった年金が、将来デメリットになるかもしれません。

老齢基礎年金(の繰上げ受給)

繰上げ受給の請求をした時点に応じて年金が減額され、その減額率は一生変わりませんので、慎重に判断を。

63歳からの方が金額が良いと聞いて

似たような境遇だと思っても、年齢や性別、働いてきた年数など、わずかな違いで当てはまる人とそうでない人がいます。

友人の話はあなたの話ではありません

友人の話は友人の話であって、あなたの話ではありません。年金事務所にあなたの話をしましょう。

奥さんの年齢は?

家族構成による違いを確認しましょう。受給を開始した時点(主に65歳)で、65歳未満の配偶者や18歳未満の子がいる場合に年金額が加算されるなど、家族構成によってもらえる金額も変わってきます。

奥さんの年齢を聞くのは失礼かと思いました。

まとめ

キャッシュが必要になる理由はひとそれぞれ。年金を繰上げ受給するのもひとそれぞれ。しかし、65歳よりも早くもらえるとはいえデメリットも多く、老後の生活資金を目減りさせてしまう繰上げ受給は、必要がなければ避けた方が無難です。

こちらの記事もおすすめ