働き方改革の影響もあって、副業可という会社が増えてきました。会社員にプラスして副業で収入を得る、稼ぎ口の複数化を検討している方も増えています。
ここでは、20代30代の若手、中堅サラリーマンが副業をして、稼ぎ口を複数持つことの利点、注意点について考察します。さらにその先に目指す起業独立についても。
確定申告は面倒くさい
稼ぎ口の複数化で問題になるのが副業収入の確定申告です。確定申告は、サラリーマンにはなじみのない制度ですね。会社の年末調整と似た機能で、1年間の所得を精査計算して、税務署に申告し、納税、還付することをいいます。たとえ副業であっても、確定申告はしなくてはなりません。
面倒くさい。でもこの障壁を乗り越えた先に幸せが待っています。
乗り越えた先にある幸せ
会社の給与が年間65万円増えた
年収400万円30代独身者が頑張って年間65万円の残業代を稼いで、年収465万円になった場合、ざっくり比較。年間40万円の手取り増。25万円はどこに消えた?。
年収400万円 | 年収465万円 | |
所得税 | 84,600 | 116,900 |
住民税 | 179,300 | 224,400 |
年金 | 373,320 | 417,240 |
健康保険 | 200,736 | 224,352 |
雇用保険他 | 12,000 | 13,950 |
手取り年収 | 3,150,044 | 3,653,158 |
副業して65万円稼いだ
年収400万円30代独身者が頑張って年間65万円を副業で稼いで、年収465万円になった場合、ざっくり比較。稼いだ65万円がそっくり、年間65万円の手取り増。
年収400万円 | 年収465万円 | |
所得税 | 84,600 | 84,600 |
住民税 | 179,300 | 179,300 |
年金 | 373,320 | 373,320 |
健康保険 | 200,736 | 200,736 |
雇用保険他 | 12,000 | 12,000 |
手取り年収 | 3,150,044 | 3,800,044 |
この2つの場合の差額は、年間25万円。税制で25万円優遇しますよ。自己投資して(将来もっと稼いで納税して)ねということです。
乗り越えて欲しい障壁
副業の収入額によって申告義務が発生する
会社員でも副業でも、何らかの収入があればきちんと申告し、相当分の納税をしなくてはなりません。脱税行為を説明しているわけではありません。
副業の確定申告が不要になる場合もある
副業の収入が少なければ税額も少ないし、申告の手間もかかります。そのため、副業としての所得、あるいは収入が20万円以下の場合、所得税の確定申告は不要とされています。
- 副業が雇用契約で、年間収入が20万円以下
- 副業が業務委託契約で、年間所得が20万円以下
- 副業が雇用契約と業務委託契約の複数あり、それぞれの収入と所得の合計が年間20万円以下
頑張って覚えて欲しいのは、雇用契約の「収入」と業務委託契約の「所得」は違うということ。この2つは区別が必要です。
パートやアルバイト、派遣などの場合(雇用契約)は、必要な道具や機材は会社側が用意しますから、そこで得られる給料はすべて自分の「収入」になります。
それ以外の内職やクラウドソーシングなどの場合(業務委託契約)は、個人事業的な就業形態になりますから、仕事に必要な道具や機材は自分で揃えなくてはなりません。これが経費として認められるのです。この場合、売上から経費を差し引いた金額が「所得」となります。この違い覚えられたかな?。
これら、収入と所得の総額が年間20万円以下であれば、申告は不要です。通称、「20万円ルール」と呼ばれています。
なんだ20万円以下なら面倒くさい確定申告はいらないじゃん。
幸せを運ぶ青色申告特別控除
でもこの障壁を乗り越えた先にしか幸せは待っていません。年間20万円が目標ではないですよね。
青色申告特別控除
サラリーマンの副業は、報酬で支払いを受け、事業所得として青色申告する。そうすると、青色申告特別控除が使えます。業務委託契約を結んで、報酬として料金をもらいましょう。65万円までの所得では非課税となり、稼いだお金は全て手取り増になります。
業務委託 | 直接雇用 | 派遣社員 | |
契約形態 | 業務委託契約 | 雇用契約 | 雇用契約 |
雇用主 | なし | 会社 | 派遣会社 |
提供するもの | 業務の遂行、成果物 | 労働力 | 労働力 |
指揮命令 | なし | 会社から | 派遣先から |
勤務時間 | 制約なし | 制約あり | 制約あり |
賃金 | 報酬 | 給与 | 給与 |
社会保険 | なし | 雇用契約先で加入 | 雇用契約先で加入 |
納税 | 確定申告 | 年末調整 | 年末調整 |
社会保険料の負担が増えない
会社と個人事業の併用ならば、会社で社会保険に加入しているはず。この場合、個人事業で稼いだお金には社会保険料が掛かりません。これが大きいし、あとあとさらに大きくなります。会社員で残業代で収入を増やせば、税金と社会保険料の負担も増える。
届出と手続き
開業届と青色申告承認申請書
開業届とは、「個人事業の開業・廃業等届書」と言い、事業の開始のほか、事務所・事業所の新設や増設、移転や事業の廃止を行った際に、税務署へ提出する書類です。
青色申告をするためには、事前に税務署に「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
開業届を提出するメリットは、「青色申告による最大65万円の控除」、「法人用銀行口座が開設できる」の2つがあります。
以上、さっとできます。簡単です。無料です。
あと、青色一択です。白色は考えません。
複式簿記
青色申告で65万円の控除を受けるためには、「複式簿記」による記帳が条件となっています。
でも心配いりません。ソフトが全て導いてくれます。
できれば、簿記3級があればあとあと便利です。
手順
自分の行っている手順です。
毎月月末に、売り上げを立てます。
入金があった日に預金に入金します。12カ月繰り返します。
確定申告の時期に、貸借対照表と損益計算書を作成します。
青色申告による最大65万円の控除を申請し、確定申告書に添付して税務署に提出します。これを毎年繰り返します。
以上。簡単です。口座の動きが少ないうちから慣れるのがよろしいです。20万円以下でも将来の練習と割り切ってやりましょう。
まとめ
確定申告と青色申告特別控除
サラリーマンでも、確定申告と青色申告特別控除を使っていいんです。税務署の認めている制度です。
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