今回の相談者は、60歳定年後再雇用で65歳期間満了の1カ月前に自己都合退職された方。
相談というより、愚痴をただ聞いただけ。
60歳定年後、再雇用を繰り返し65歳まで勤務予定だったが、64歳11カ月での退職がお得という話をどこからか仕入れ、期間満了の1カ月前に自己都合退職を申し入れ、会社も了承したらしい。
久々に聞いたわこの嘆き
雇用保険の受給が高年齢求職者給付金(50日分)だった!
本当は、雇用保険基本手当150日分を貰いたかった。三分の一になっちゃった。
雇用保険基本手当を65歳からもらいたい人は、退職日に注意
この方のサラリーマン人生とか、担当業務内容とかどうでもいいです。
この方、3月1日生まれだったそうです。会社の定年退職規定は、60歳誕生日のある月末に定年退職。そこから1年単位で再雇用を繰り返すこと5回。本来3月末に再雇用期間満了退職予定でしたが、それを64歳11カ月での退職したいと願い、2月末日で退職したらしい。
ここで引っ掛かったのが、誕生日の3月1日。
「年齢の計算については、年齢計算ニ関スル法律と民法第143条によりその考え方が示されており、それによれば、人は誕生日の前日が終了する時(午後12時)に年を一つとる(満年齢に達する)、とされています。」
この方は、2月末日の午後12時に65歳になったと判定されるのでした。2月末日の午後12時と3月1日の午前0時とどう違うんだと言ったそうですが、だれも聞き入れませんね。久々に聞いたわこの嘆き!
ハローワークで文句を言われた係の方、お疲れ様です。高年齢求職者給付金(50日分)を貰って終了したそうです。
悪いことは重なるという話
が、更に悲劇が!。(聞かなきゃいいのに)その会社は利益が大幅に出て、3月決算期に期末手当を出したそうで、再雇用の方ももらったという話。
「泣きっ面に蜂」
64歳11カ月での退職がお得って話
さて、今回の悲劇の元、64歳11カ月での退職がお得って本当ですか?。
本当ですが、取り扱い要注意です。
雇用保険と年金併給
雇用保険基本手当(いわゆる失業保険)を有利に貰いたいという考えから退職日を考えると、65歳直前まで給料が受け取れる64歳11カ月での退職が有利だといえます。
それは、基本手当と老齢厚生年金が、次のように定められているからです。
- 65歳到達前に退職すれば、基本手当を受給することができる
- 基本手当と65歳未満の間に受給する特別支給の老齢厚生年金は、併給されない
- 基本手当と65歳以後に受給する老齢厚生年金は、併給される
基本手当の受給資格を得るために65歳到達前に退職し、年金との併給調整がない65歳以後に基本手当を受け取ることができるタイミングが有利であり、その時期が64歳11カ月となります。
退職日は65歳到達日前で
基本手当は、退職日が65歳到達日前でなければ受給資格が得られません。
65歳到達日以後に退職すると
退職日が65歳到達日以後になると、基本手当はだめ。代わって受給できるのが高年齢求職者給付金となります。一時金で年金と併給可。
雇用保険基本手当と年金の両方を受け取るには
65歳になる前に退職し、65歳になってからハローワークに求職の申し込みをすると、両方受け取れます。もちろん、28日おきの認定日に毎回ハローワーク参りをして、2回の求職活動をしての話。
まとめ
3つの条件を満たす時期を選んで退職すると、基本手当と年金の両方を受け取ることができます。
- 基本手当が受給できるように、65歳に達する日の前日(65歳の誕生日の前々日)までに退職する
- 65歳に達する日以後にハローワークで求職の申込みをする
- 基本手当の受給終了日が退職日の翌日から1年以内の期間に収まるように、65歳に達したら迅速に基本手当の手続きをする
以上は、雇用保険基本手当と年金の関係のみの話。
雇用契約が65歳到達時点で満了し、期間満了まで在職すれば、退職金や賞与等が支給されるようなときは、基本手当にこだわらない方がよい場合もあります。
また、雇用契約満了まで在職せずに退職した場合は、自己都合退職となり、求職の申込みをしてから基本手当を受給するまでに2カ月の給付制限期間が生じます。が、基本手当の受給開始が遅れるだけで、受給額には影響しませんので念のため。
人の話は最後までしっかりと聞こうねって話